だが、このクラフトは見た目ほど甘くはない。誰しもが一度は直面するのが、アイロンの熱ムラによる「溶けすぎ事故」や、逆に圧着が足りずにプレートから外した瞬間バラバラに崩壊する惨劇だ。SNSのタイムラインには、無惨にも原形をとどめずペチャンコに潰れた「たらこっち」の残骸が時折アップされ、同業者たちの涙を誘っている。
美しく仕上げる秘訣は、アイロンを絶対にスライドさせないこと。上から垂直に体重を乗せ、オーブンシート越しにビーズの穴の潰れ具合を目視しながら、数秒単位で位置をずらしていく。完璧に四角く溶け合ったドットの隙間が綺麗に埋まった瞬間、プレートの上には工業製品のような均一美と、ハンドメイド特有の温もりが同居する奇跡の板が焼き上がる。