不耕起栽培とは、その名の通り畑の土を耕起(天地返しやロータリー耕運)せずに作物を栽培する手法を指します。一般的な栽培法では、土壌に空気を含ませて柔らかくし、肥料を均一に混ぜるために耕起を行いますが、不耕起栽培では土中の自然生態系そのものに耕作の役割を委ねます。
土を耕さない最大のメリットは、土壌微生物やミミズなどの小動物が作る微細な通り道(団粒構造)が壊されないことにあります。植物の根が枯れて分解されると無数のスキマができ、空気と水が自律的に循環するスポンジのような土壌へと育ちます。さらに、土壌表層を削り取らないため風雨による表土流出を防ぎ、夏の地温上昇や乾燥からも作物を守る効果を発揮します。
重労働である「畝立て」や「毎年の耕起作業」から解放される点も、高齢化が進む農業現場や限られた時間で楽しむ家庭菜園層にとって大きな魅力です。燃料代や機械の維持費を削減できる経済的合理性も見逃せません。