歴史に名を残す規格外の高身長は、遺伝的素因だけでは説明がつきません。その大半は、脳の中央部に位置するエンドウ豆ほどの器官「下垂体」に生じる良性腫瘍が引き起こす下垂体性巨人症に起因します。
下垂体前葉にある腫瘍が、骨の成長を促す「成長ホルモン(GH)」を際限なく分泌し続けることで発症します。骨の端にある骨端線(成長軟骨帯)が閉鎖する思春期以前にこの状態が続くと、骨が縦方向に異常増殖し、2mを遥かに超える巨大な骨格が形成されます。一方で、骨端線が閉鎖した成人後に発症した場合は、手足の先端や顔面骨が肥厚する「先端巨大症(アクロメガリー)」となります。
成長ホルモン過剰症は、骨の成長だけでなく内臓の肥大、心肥大、高血圧、糖尿病などの合併症を誘発するため、心血管系への負担が極めて重くなります。現代ではMRIによる早期発見と内閣鏡手術・薬物療法が確立されたため、270cm級まで過度に身体が巨大化するケースは医学的に極めて稀となっています。