外野のビジネスパーソンやネット言論において、時折囁かれるのが「情報弱者である高齢者をターゲットにした囲い込み商法ではないか」という穿った見方です。しかし、この解釈は実態の本質を決定的に見誤っています。
第一の誤解は、「顧客は価格比較ができないからヤマグチで買っている」という思い込みです。現場のヒアリング調査によれば、多くの高齢者顧客はチラシやテレビCMを通じて、他店のほうが安価であることを十分に認識しています。その上で、あえてヤマグチを選び取っています。購入後の初期設定、使い方のレクチャー、故障時の即日代替機の用意といった「時間短縮と精神的ストレスの解消」に対する対価として、価格差を受け入れているのです。
第二の誤解は、「高収益だから誰でも真似できるビジネスモデルである」という錯覚です。これまで数多くの大手チェーンや同業他社が「御用聞きサービス」の模倣を試みましたが、その大半が挫折しました。理由は明白です。多くの企業は人件費を「削るべきコスト」と捉えるため、短期間で売上に直結しない無償サポートを現場に強いることができず、最終的に現場が疲弊して撤退に追い込まれるためです。株式会社ヤマグチは、半世紀近くにわたり築き上げた「損して信頼を取る」企業文化が社内に浸透しているからこそ成立する、極めて模倣困難なビジネスモデルなのです。