戦術ボード上の完璧なチェスに見えるペップ・フットボールですが、ピッチでプレーする選手たちにはどのような要求が課されているのでしょうか。番記者マルティ・ペラルナウ氏の密着手記や元所属選手たちの証言から、その現場のリアルが克明に浮かび上がります。
かつてバルセロナでプレーしたティエリ・アンリ氏は、英メディアの解説特番で「グアルディオラはピッチをピッチの3分の2まで完全にコントロールし、最後の3分の1(ファイナルサード)だけ選手に自由を与える。指示された持ち場を勝手に離れてゴールを決めても、ハーフタイムに怒鳴られた」と告白しています。規律を乱してスペースのバランスを崩すことは、チーム全体の崩壊を意味するからです。
また、マンチェスター・シティの選手たちが口を揃えるのは「トレーニングの強烈な認知負荷」です。練習中、ペップはピッチにグリッド線を何本も引き、「ボールが右サイドのハーフスペースに入ったとき、逆サイドの選手はどのグリッドに立つべきか」をミリ単位で叩き込みます。
SNSやファンのコミュニティでは「緻密すぎて見ていて息が詰まる」「機械のようだ」という声が上がる一方で、「相手チームが何をしても解決策をすでに持っている」「フットボールの解像度が別次元に引き上げられる」と、その圧倒的な完成度に畏怖の念を抱く意見が大多数を占めています。