かつて人類の三大欲求は、自然界のサイクルと分かちがたく結びついていた。太陽が沈めば眠り、獲物を捕らえて空腹を満たし、限られたコミュニティの中で子孫を残す。しかし、アルゴリズムが支配する情報空間が、この何百万年かけて磨かれたリズムを粉砕した。
ベッドの中で眺めるYouTubeのショート動画や、夜通し視聴できてしまうNetflixの連続ドラマ。高品質なサイエンス・ドキュメンタリーが知的好奇心を刺激する一方で、無尽蔵に供給される刺激的なコンテンツは脳の報酬系を絶え間なくハックし続ける。光刺激とエンドレスなドーパミン刺激の濁流に晒された脳は、夜間であることを認識できず、睡眠欲を麻痺させ、不必要な夜食の欲求を偽造する。テクノロジーは三大欲求を満たす道具から、欲求そのものを人工的に増幅・変異させる装置へと姿を変えたのだ。