最も懸念されたのが、共演の平手友梨奈とともに二人三脚で挑んでいた主演ドラマ『うちの弁護士は手がかかる』の行方でした。発症した10月12日は、初回放送の前日という極限のタイミングです。主演俳優が不在となったことで現場の撮影スケジュールは一時中断し、スタッフ陣は急ピッチで香盤表(撮影進行表)の組み直しに追われました。
ネット上では「初回直前の離脱でドラマ自体がお蔵入りになるのではないか」「病状が悪化してムロツヨシがドラマを降板するのではないか」といった降板の噂が瞬く間に拡散しました。連ドラの座長不在は放送事故に直結しかねない大トラブルであり、代役を立てるべきかという憶測まで飛び交う事態となったのです。
しかし、制作サイドと所属事務所は降板という選択肢を即座に否定しました。バディ役を務めた平手友梨奈をはじめとする共演陣の単独シーンを前倒しで撮影し、ムロツヨシが登場しない場面を再構成して急場をしのぐという、現場一丸となったリカバリー体制が敷かれたのです。制作プロデューサーは当時の取材に対し、「現場全員がムロさんの帰りを信じて待っていた」と証言しており、座長が築き上げてきた現場の信頼関係がプロジェクトの崩壊を防ぎました。