一般のドライバンやウイング車と決定的に異なるのは、家畜運搬車が「生きている命」を運ぶコンテナであるという点です。荷台内部は、運搬中の家畜にかかるストレスを最小限に抑え、急ブレーキや旋回時にも怪我をさせないための緻密な設計が施されています。
まず目を引くのが多段フロア構造と油圧昇降リフトです。豚や子牛など体高が低い家畜を運ぶ場合、荷台を2段または3段に区切る「中床(なかゆか)」が設置され、油圧や電動ウインチでフロア自体を昇降させて積み降ろしを行います。スロープを使わずに水平のまま積み込めるため、家畜の転倒や骨折事故を劇的に防ぐ役割を果たしています。
さらに過酷な夏場の輸送を支える生命線となるのが、給水スプリンクラー設備と強力な強制換気ファンです。荷台側面の開口部スリットに加え、複数台の電動ファンで常に新鮮な空気を循環させ、熱中症を防ぐために微細なミストを噴霧する冷却システムが組み込まれています。また、走行中の糞尿流出を完全に遮断するため、床面には耐腐食性に優れた縞鋼板やアルミデッキが敷かれ、車体下部の大容量汚水回収タンク(汚水受けドレン)へと確実に誘導される密閉排水構造が採用されています。