インターネット上の掲示板やSNSでは、『慟哭』に関して幾つかの噂や誤解が囁かれることがあります。長年取材を続けてきた音楽ジャーナリストの視点から、その真偽をファクトチェックします。
誤解1:中島みゆき自身のストック曲が工藤静香へ回されたのか?
【検証結果:誤り】
一部で「中島みゆきが自分のアルバム用にストックしていた楽曲を提供したのではないか」という憶測が見られますが、これは事実と異なります。当時の制作関係資料やインタビュー記録によると、本作は明確に「工藤静香のためのオリジナルシングル」として企画・制作されました。中島みゆき氏が工藤静香のキー設定、声の掠れ具合、ドラマのタイアップ概要を完全に踏まえて書き下ろした完全な当て書き作品です。
誤解2:中島みゆきのセルフカバー版とどちらがオリジナルか?
【検証結果:工藤静香版がオリジナル】
中島みゆき氏は1993年10月にリリースしたアルバム『時代-Time goes around-』の中で『慟哭』をセルフカバーしています。このアルバムの完成度があまりに高かったため、後年になって「中島みゆきの原曲を工藤静香がカバーした」と誤認する若いリスナーが存在しますが、工藤静香のシングルリリースが先行(1993年2月)であり、工藤版が正真正銘のオリジナルです。
なお、中島みゆき氏のセルフカバー版は、テンポを抑え、より情念とドラマ性を前面に押し出したアコースティックかつ重厚なアレンジとなっており、両者の解釈の違いを聴き比べることも音楽ファンの間で大きな醍醐味となっています。