ネット上の情報では「赤ちゃんが口を開けて寝るのは良くない」「将来の歯並びが悪くなる」といった警告が溢れており、これが保護者の焦りを生む一因となっています。確かに、長期的な視点で見た場合の乳児口呼吸デメリットには、口腔内の乾燥、唾液による殺菌作用の低下、上気道感染(風邪)のリスク増大、さらには将来的な顎顔面の発育不全などが挙げられます。しかし、これらは幼児期以降に口呼吸が慢性化・固定化した場合の議論であり、生後数週間の新生児期において即座に骨格異常へ直結するわけではありません。
一方で、単なる筋力不足や一時的な鼻づまりではなく、医療的な介入を必要とする新生児口開けて寝る病気が隠れているケースも存在します。注意深く観察すべき代表的な疾患は以下の通りです。
まず挙げられるのが、赤ちゃん舌小帯短縮症です。舌の裏側にある筋(小帯)が短く、舌先がハート型にくびれて上あごに十分に届かない先天的な状態を指します。舌が正しい位置(口蓋)に収まらないため、下顎が後退しやすくなり、気道が狭くなって口呼吸や赤ちゃん口開けて寝るいびきを誘発することがあります。授乳時に深く吸着できない、乳頭に強い痛みがあるなどの症状が併発している場合は、専門医による評価が推奨されます。
次に、先天的な形態異常として新生児アデノイド肥大や鼻咽腔の狭窄、喉頭軟化症が考えられます。アデノイド(咽頭扁桃)は通常、生後数ヶ月から幼児期にかけて生理的に大きくなる組織ですが、稀に先天的に大きく鼻の奥を塞いでいる場合があります。また、喉頭軟化症では息を吸い込むときに喉の組織が虚脱し、「ヒューヒュー」「ゼーゼー」という吸気性喘鳴(ストライダー)が発生します。
さらに見逃せないのが新生児睡眠時無呼吸症候群です。新生児期には生理的な周期性呼吸(数秒の呼吸停止)が見られますが、10秒〜20秒以上の完全な呼吸停止を伴い、顔色が青白くなる(チアノーゼ)、脈拍が低下する、あるいは眠りから突然苦しそうに跳ね起きるような状態が頻発する場合は、閉塞性無呼吸の疑いがあり、精密検査が必要です。