市立福山には、私学のような広大な専用球場や最新の室内練習場があるわけではない。他部活との兼ね合いもあり、グラウンドを全面使用できる時間は限られている。この物理的なハンデを克服したのが、iPadや弾道測定器を駆使したデータ野球だ。
選手たちは自らのスイング軌道や投球の回転数を数値で把握し、短い練習時間の中で最も効果的なアプローチを自ら選択する。ダラダラとした千本ノックは存在しない。代わりに展開されるのは、一瞬の判断ミスが勝敗を分ける実戦形式のシチュエーションノックだ。「量」を追い込めないからこそ「質」を限界まで研ぎ澄ます——この徹底した効率化が、終盤の接戦で崩れない集中力を生み出している。