物語の発端は、冬の東京。竹沢家の三女・滝子が、図書館の片隅で興信所の調査員・枡川から受け取った一通の調査報告書でした。そこには、真面目一筋で定年を迎えたはずの70歳の父・恒太郎に若い愛人がおり、すでに未就学の男児までもうけているという衝撃の事実が記されていました。
滝子は驚愕し、未亡人として生花教室を開く長女・綱子、サラリーマン家庭の主婦である次女・巻子、そして喫茶店でウェイトレスをしながら売れないボクサーと同棲する四女・咲子を緊急招集します。母・ふじの耳に入らないよう水面下で父親を問いただそうとする四人。しかし、父親の不始末を暴こうとする過程で、皮肉にも四姉妹自身がひた隠しにしてきた私生活の闇と裏の顔が次々と露呈していきます。
長女の綱子は、料亭の主人である妻子ある男性と長年不倫関係にあり、経済的援助を受けていました。次女の巻子は、一見幸せな中流家庭を築いているように見えながら、夫・鷹男の部下との浮気に怯え、病的なまでの嫉妬と猜疑心に苛まれています。潔癖症で正義感の強い三女の滝子は、男性不信の裏返しとして家族を厳しく監視し、自らの婚期を逃しかけていました。そして奔放に見える四女の咲子は、勝てないボクサー・陣内と同棲し、妊娠や暴力の不安を一人で抱え込んでいたのです。
「父の愛人問題」という一本の導火線に火がついたことで、平穏だった家庭は互いの秘密を刺し違え合う心理戦の戦場へと変貌していきます。