現地を訪れて最初に驚かされるのは、来訪者の多様さだ。静まり返っていた集落の小道には、高性能の録音機材を手にした若者や、バックパックを背負った外国人観光客の姿が途切れない。数年前まで、ここは高齢化率が60%を超え、空き家が目立つ典型的な限界集落だった。
風向きが変わったのは2025年後半。地域の豊かな生物多様性を「音」という切り口で再発見する試みが始まると、静かな波紋が広がった。都会の喧騒に疲れた現代人にとって、朝モヤの中で響く野鳥のコーラスは、どんなリゾートよりも深い癒やしとして受け入れられたのだ。