インターネット上の掲示板や簡易Q&Aサイトでは、画面トラブルに対して安易に「電源長押し」を推奨する言説が散見されます。しかし、現代のストレージ(NVMe SSD等)は極めて高速にキャッシュデータの読み書きを行っており、アクセスランプが見えない最新ノートPCでは、画面が真っ暗な裏側でOSの重要なシステム更新ファイルを書き換えている最中であるケースが少なくありません。
書き込み処理の最中に電源を遮断すると、ファイルシステムの整合性が破壊され、最悪の場合は暗号化キーが破損して二度とOSが立ち上がらなくなります。どうしても強制終了を行わざるを得ない場合でも、最低でも10分から15分ほど放置し、ディスクアクセスが確実に途絶えたことを見届けてから行うのが鉄則です。
また、盲点となりやすいのが「放電処置」の効能です。近年の高密度設計されたマザーボードは内部に余剰電力が滞留しやすく、これがハードウェア初期化の信号エラーを引き起こしてディスプレイドライバーの読み込みを阻害します。
正しい放電の手順は極めてシンプルです。
- パソコンの電源を安全に落とす。
- 電源ケーブル、ACアダプターを取り外す。
- マウス、外付けHDD、USBメモリ、外部モニターなどすべての周辺機器を完全に取り外す。
- ノートパソコンでバッテリーが外せる構造の場合は取り外す。
- その状態のまま10分から15分間放置する。
内部のコンデンサから電気を完全に抜け切らせるだけで、次回起動時にハードウェア構成が正しく再認識され、嘘のように通常のデスクトップが立ち上がる事例は修理現場でも日常茶飯事です。