本作のリアリズムを支えているのは、CG頼みを排した極寒の現地ロケだ。氷点下二桁に達する北海道の雪山にカメラを持ち込み、俳優陣は実際に凍てつく吹雪の中でサバイバルアクションを繰り広げた。山﨑賢人が極寒の川に身を投じるシーンなど、過酷な撮影現場でしか生み出せない極限の緊張感がフィルムに焼き付けられている。
さらに特筆すべきは、アイヌ文化に対する真摯なアプローチだ。民具や衣装の細部に至るまでアイヌの専門家による徹底した監修が施され、言語指導や儀礼の作法に至るまで本物の敬意を持って再現された。単なるエンターテインメントの背景として消費するのではなく、北海道の歴史と文化に真向から向き合う制作姿勢が作品の格調を一段引き上げている。