ファンにとってこの街は、特別な意味を持つ「始まりの地」である。国民的ロールプレイングゲームであるドラゴンクエストの生みの親として知られるゲームデザイナーの堀井雄二氏は、ここ洲本の出身だ。洲本市民広場に足を踏み入れると、ロトの剣と盾を携えた銅像が威風堂々と鎮座し、訪れる人々を温かく出迎えてくれる。
銅像の裏手に回ると、ゲーム内に登場するおなじみのスライムが微笑みかけている。単なる記念碑にとどまらず、地元商店街ではコラボグッズや限定の食べ歩きメニューが開発され、ファンの旅心をくすぐる趣向が凝らされている。かつて少年の心で冒険に胸を躍らせた大人たちが、作品の原風景を求めてこの街を巡る光景は、文化コンテンツが地域に与える計り知れない影響力を如実に物語っている。