阿倍王子神社を語る上で欠かせないのが、北へわずか50メートル(徒歩約1分)の距離に位置する「安倍晴明神社」との関係性です。映画やアニメ、小説で絶大な人気を誇る平安時代の陰陽師・安倍晴明ですが、当地こそが晴明公誕生の伝承地とされています。
社記によれば、寛弘4年(1007年)、花山法皇の命によって晴明公の生誕地に創建されたと伝えられています。一見すると独立した神社に見えますが、制度上は阿倍王子神社の「境外末社」にあたります。境内の維持管理や祭儀、社務対応のすべてを阿倍王子神社が統括しています。
安倍晴明神社の境内には、晴明公が産湯を使ったとされる「産湯の井戸跡」や、晴明の父・安倍保名が信太の森で助けた白狐の化身である母を祀る「葛之葉稲荷神社(くずのはいなりじんじゃ)」が鎮座しています。葛之葉伝説は人形浄瑠璃や歌舞伎『蘆屋道満大内鑑』でも名高く、母子の情愛と晴明公の神異な霊力を象徴するパワースポットとして、安産祈願や子宝、学問成就を願う人々の崇敬を集めています。