選挙掲示板の前で足を止める生徒の心理を分析すると、当選と落選を分かつ最大の要因は「視覚的負荷の差」に行き着きます。投票先をまだ決めていない浮動票層にとって、細かな文字が画用紙いっぱいに敷き詰められたポスターは、読む前から敬遠される対象にしかなりません。
現場の生徒たちに取材すると、「文字が小さすぎて読む気が起きない」「誰のポスターか名前がパッと目に入ってこない」という声が圧倒的多数を占めます。実際に当選する選挙ポスターの共通点を洗い出すと、掲示板から3メートル離れた位置からでも「候補者名」「役職」「最大の公約」の3要素が瞬時に判別できる視認性を備えています。
一方で、熱意が空回りして落選してしまう典型例が「言いたいことをすべて詰め込んだ幕の内弁当型」です。生徒会長や役員への思いが強すぎるあまり、自己アピールや複数の公約を長文で書き連ねてしまい、結果として誰に向けたメッセージなのかが完全にぼやけてしまいます。選挙ポスターで票が集まる理由は、卓越した美術センスではなく、見る側の負担を徹底的に排除した「情報デザインの親切さ」に他なりません。