園内の中央に君臨し、圧倒的な存在感を放つのが、日本最古級の呉服枝垂とされる名木「天の龍(てんのりゅう)」と「地の龍(ちのりゅう)」です。推定樹齢は100年を超えるとされ、その幹の太さと波打つような造形美は、自然の力強さと人間の技芸が数十年にわたって対話を重ねてきた証です。
「天の龍」は、天に向かって力強く立ち上がった幹から、四方八方にしなやかな枝が滝のように流れ落ちる動的な美しさを湛えています。一方の「地の龍」は、地を這うような重厚なうねりを見せ、大地に深く根を下ろす生命のたくましさを表現しています。これら2本の名木をじっくり観察すると、枝の一本一本にまで職人の鋏(はさみ)が入り、不自然な交差枝や枯れ枝が完璧に取り除かれていることに気づかされます。
現代の園芸界では、職人の高齢化と後継者不足により、こうした大型の仕立て技術が急速に失われつつあります。赤塚植物園は日本中を奔走して枯死の危機にあった銘木を探し出し、土壌改良技術や独自の育成システムを駆使してこの鈴鹿の地に移植・蘇生させました。「天の龍」「地の龍」の前に立ったとき、観客が胸を打たれるのは、単なる花の華やかさだけでなく、世代を超えて受け継がれた職人の執念と美意識がそこに凝縮されているからです。