世間一般で長年根強かった「カバディ=鬼ごっこの変形」というイメージは、実際の試合を一度でも観戦すれば瞬時に打ち砕かれます。両者の間には、決定的な違いが存在します。鬼ごっこは逃げる側と追う側の追いかけっこですが、カバディは「攻撃者1人に対し、守備側7人が組織的な包囲網を敷いて力づくで捕獲しにいく」という非対称のコンタクト格闘戦です。
攻撃側が相手に触れて自陣へ生還すれば得点になりますが、守備側はそれを阻止するために猛烈なタックルを仕掛けます。ラグビーやレスリング顔負けの低空タックル、空中で体勢を奪うアンクルホールド、複数人で相手の身体をねじ伏せるチェーンブロックなど、衝突の衝撃は強烈そのものです。骨折や脱臼といった危険と常に隣り合わせであるため、選手たちには並外れた強靭なフィジカルと受け身の技術が欠かせません。「走る格闘技」と呼ばれる所以がここにあります。