北海道の北西部に位置する天塩町が、なぜ今これほどまでに情報感度の高い層の関心を惹きつけているのか。その根底には、大自然の恩恵を凝縮した「食の力」と、消滅可能性自治体からの脱却を期して打ち出された「果敢な定住政策」の相乗効果があります。
2026年における天塩町の住民基本台帳人口は約2,700人台で推移しており、高齢化率は40%を超える水準に達しています。数字だけを見れば典型的な過疎地域に分類されますが、現場の空気感は決して悲観一色ではありません。天塩川河口の豊かな汽水域がもたらす水産資源を軸に、一次産業のブランド化を徹底推進。さらに、サテライトオフィス誘致やテレワーカーの受入れ態勢を整備したことで、関係人口と呼ばれる町外のファンを着実に増やしてきました。
町を訪れた人々が一様に口を揃えるのは、手つかずの雄大な風景と、外から訪れる者を受け入れる町民の気風です。観光特番や旅雑誌での露出が相次いだ結果、「ただ通過するだけの街」から「目的地として滞在する街」へと、その立ち位置を大きく変容させつつあります。