その大きな転機となったのが、直木賞作家・朝井リョウのベストセラー小説を実写化した映画『正欲』だ。本作で彼女が演じたのは、独自の性的指向と秘密を抱え、社会的孤立を感じながら生きる女性・桐生夏月。これまでの明るいキャラクターとは真逆の、感情を押し殺した目つきや虚無感を漂わせる立ち振る舞いは、観客に強い衝撃を与えた。
作品内で描かれる体当たり演技は、ストーリーの本質である「他者には理解されがたい生きづらさ」を鮮烈に際立たせている。飾らない素顔と背中のラインで見せる切ない表情は、映画全体のトーンを決定づける重要なピースとなった。