back numberの『光の街』が収録されたアルバム『シャンデリア』は、バンドにとって極めて重要な転換点となった作品です。『ヒロイン』『SISTER』『手紙』『クリスマスソング』と、誰もが知る超大型タイアップシングルが立て続けに世に出て、バンドが国民的スターへと駆け上がった時期でした。
巨大化する状況と「生活者の手触り」の狭間で
当時の音楽雑誌や特番インタビューにおいて、ソングライターである清水依与吏氏は、急激な知名度の上昇とタイアップ楽曲の制作ラッシュの中で生じていた凄まじいプレッシャーについて述懐しています。大衆に向けた壮大なラブソングを求められる日々が続く中で、彼が強く意識したのが「自分たちが本来立っていたはずの足元を失わないこと」でした。 清水氏は過去の取材で、「どれだけ大きなステージに立てるようになっても、歌うべき感情の根っこはコンビニの帰り道やワンルームの部屋にある」という趣旨のこだわりを語っています。『シャンデリア』という豪奢なアルバムタイトルを掲げながら、その終盤に配置された『光の街』には、華やかな脚光とは対極にある「泥臭くも温かい体温」が色濃く残されています。 外部のタイアップに縛られず、純粋にアルバムのための1曲として紡がれたからこそ、過度な装飾のない生々しい感情が吹き込まれました。この制作背景を知ると、楽曲の節々から滲み出る「等身大の誠実さ」がいっそう胸に迫ります。