紅白史における最大のハイライトとして語り継がれているのが、2018年(第69回)の平成最後の紅白歌合戦です。
この年、サザンオールスターズはデビュー40周年のメモリアルイヤーを迎え、NHK側からの熱烈なオファーに応える形で特別企画枠としてホールに直接出演しました。歌唱曲『勝手にシンドバッド』の演奏中、同じく特別企画で出演していた松任谷由実がステージ中央に駆け寄り、桑田佳祐と肩を組みながらデュエットを披露。桑田がユーミンの頬にキスをし、ユーミンが桑田の胸元に寄り添うという、J-POPの歴史を創り上げた二大巨頭によるアドリブの絡み合いが実現しました。
この場面について桑田佳祐は、のちに自身のラジオ番組や手記において、「音楽を愛し、長く続けてきた同胞としてのリスペクトと、お祭りとしての場の空気が生んだ純粋な衝動」であったと述懐しています。計算された演出を超えたロックスピリットの交歓は、視聴者を圧倒し、同年の番組最高瞬間視聴率(45.3%/関東地区・ビデオリサーチ調べ)の記録に大きく貢献しました。
桑田佳祐が紅白のオファーを受ける最大の理由は、「世代を超えた国民全体への感謝と音楽による恩返し」にあります。ソロ名義での出演(2010年、2017年『ひよっこ』主題歌『若い広場』、2022年『時代遅れのRock'n'Roll Band』など)を含め、桑田のステージには常に「混迷する時代を生きる人々を励ます」という明確な音楽的使命感が貫かれています。