聖武天皇の業績を一言で要約するならば、「未曾有の危機に際し、仏教の精神的結束と大胆な土地改革によって古代日本を再編した天皇」といえます。数ある施策の中でも、後世の日本史に決定的な影響を与えたのが次の3大功績です。
第1の功績は、東大寺盧舎那仏(大仏)の造立です。743年(天平15年)に出された「大仏造立の詔」に基づき、国家の総力を挙げて推進されました。単なる巨大モニュメントの建設ではなく、全ての生命の幸福と国の安泰を祈る国家的シンボルとして、身分を問わず広く国民の協力を募って完成させました。
第2の功績は、全国への国分寺・国分尼寺(こくぶんじ・こくぶんにじ)の建立です。741年(天平13年)の「国分寺建立の詔」により、当時の全国60余国ごとに国分寺(金光明四天王護国之寺)と国分尼寺(法華滅罪之寺)を設置させました。これにより、中央集権的な統治ネットワークと仏教ネットワークを融合させ、地方の治安維持と精神的統一を図りました。
第3の功績は、743年に発布された墾田永年私財法(こんでんえいねんしざいほう)の制定です。それまでの公地公民制(律令制度)では、土地はすべて国家のものであり、口分田を与えて租税を徴収していました。しかし人口増加に伴う田畑不足を解消するため、新しく開墾した土地の永久私有を認める大改革を断行したのです。この法改正は、後に荘園(貴族や寺社の私有地)が拡大し、中世封建社会へと移行する決定的な引き金となりました。