夕刻、お茶屋へ向かう舞妓の着物を強引に引っ張ったり、至近距離から無断でカメラを向けたりする悪質な追尾行為が深刻視されて久しい。彼女たちは見世物の展示物などではなく、日々の厳しい修業を通じて日本の伝統芸能を継承する現役の表現者だ。祇園甲部歌舞会をはじめとする伝統組織も、芸舞妓の人権と安全を守るため、強い危機感をもって啓発を行っている。
「記念写真を撮りたい」「間近で見たい」という個人本位の欲求で、彼女たちの安全な往来を阻むことは決して許されない。触れない、立ちふさがらない、追いかけない。こうした最低限の節度を欠いた身勝手な振る舞いは、京都が長年培ってきた文化基盤そのものを根底から傷つける行為に他ならない。