植物分類学において、キャベツをはじめとする多くの主要野菜は学名「ブラッシカ・オレラセア(Brassica oleracea)」という単一の種に属しています。そのルーツをたどると、地中海沿岸の断崖や海岸沿いに自生していたヤセイカンラン(野生甘藍)に行き着きます。
数千年前の古代ギリシャ・ローマ時代、人々は過酷な塩風に耐えて育つヤセイカンランを薬用や食用として採集していました。この原種にはもともと結球する性質はなく、肉厚な葉を広げる野草のような姿をしていました。そこから人間が「葉を多く食べたい」「つぼみを食べたい」「茎を太くしたい」といった目的に応じて選抜と交配を繰り返した結果、驚くほど多様なキャベツ品種改良歴史が紡ぎ出されたのです。
葉を巻かずに青汁などの原料となるケールキャベツ違いの原点となったのが初期の改良種であり、葉が重なり合って丸まったものが現在のキャベツ、花のつぼみ(花蕾)が密集して肥大化したものがブロッコリーキャベツ関係の正体です。これらは品種の違いではなく、人間が植物の特定の器官を極端に発達させた「変種」の関係にあります。