俵屋吉富「雲龍」が愛される理由と評判|日持ち・白雲龍の違いを徹底検証

俵屋吉富「雲龍」が愛される理由と評判|日持ち・白雲龍の違いを徹底検証

俵屋吉富「雲龍」が愛される理由と評判|日持ち・白雲龍の違いを徹底検証の特集記事をご紹介します。専門的な知識が満載です。

京都御所の北、室町通に本店を構える京菓子司 俵屋吉富の歴史は、宝暦5年(1755年)に遡ります。江戸中期の創業以来、禁裏(皇室)や名刹の御用達を務めながら、京都の年中行事や茶の湯文化とともに歩みを重ねてきました。

その名声を現代に決定づけた「俵屋吉富 雲龍」が誕生したのは昭和期のことです。七代目当主・石原留治郎が、京都屈指の臨済宗大本山である相国寺を訪れた際、法堂の天井に描かれた狩野派の龍ではなく、寺宝として伝わる南宋の画家・陳容(ちんよう)による『雲龍図』に深い感銘を受けたことがすべての始まりでした。天空を自在に翔け、雲間から爪楊枝や眼光をのぞかせる龍の雄姿を菓子として写し取れないか——その情熱から試行錯誤の末に生み出されたのがこの棹菓子です。

愛され続ける最大の理由は、既存の棹菓子の枠にとらわれない圧倒的な素材の調和と食感のコントラストにあります。主原料には、豊かな風味と皮の柔らかさを誇る国産の丹波大納言小豆を贅沢に使用。丁寧に炊き上げた小倉餡を、米粉と生餡を合わせてそぼろ状に蒸し上げた特製の「村雨(むらさめ)生地」の上に敷き詰め、熟練の職人が一本一本手巻きで渦巻き状に仕上げていきます。

練り羊羹のような均一な重厚さとは異なり、外側の村雨餡が口の中でほろほろとほどけ、直後に小倉餡のしっとりとした粒感と芳醇な小豆の香りが押し寄せる多層的な味わい。甘さを過剰に主張せず、素材本来の旨味を引き出す京都ならではの引き算の美学が、半世紀以上にわたって舌の肥えた文化人や茶人を唸らせ続けている本質です。

伊藤 翔太
著者

伊藤 翔太

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。