まず押さえておきたいのが、この成語の正確な表記と構造です。「天網恢恢疎にして漏らさず」の読み方は「てんもうかいかい そにしてもらさず」となります。日常会話では「天網恢恢」の四字熟語単体で用いられることも多く、いずれも同様の訓戒を指します。
構成する漢字を分解すると、言葉が持つ情景が鮮明に浮かび上がります。「天網(てんもう)」は天が張り巡らせた見えない網、「恢恢(かいかい)」は広大で果てしないさま、「疎(そ)」は網の目が粗いこと、そして「漏らさず(もらさず)」は一切の漏れや取りこぼしがない状態を表します。
天網恢恢の現代語訳としては、「天の張る網は広大で、一見すると目が粗いように見えるが、悪人を一人たりとも取り逃すことはない」となります。悪巧みをして一時的に法の目をかいくぐったり、世間の監視を逃れたりしたとしても、天道(宇宙の絶対的秩序や道理)から逃れることは決してできないという普遍的な道徳律を説いた言葉です。