「久しぶりに行ったら知っている服屋がほとんど消えていた」「平日の昼間に歩くと通路が閑散としていて不安になる」——。ネット上の掲示板やレビューサイトに書き込まれるこれらの声は、決して事実無根のデマではありません。ただし、その解釈には大きな誤解が含まれています。
岸和田カンカンベイサイドモールが開業した1990年代末から2000年代初頭にかけて、WEST棟は関西屈指の「海が見えるオープンエア型アウトレットモール」として絶大な人気を博しました。しかし、その後2000年代半ばから2010年代にかけて、近隣エリアに「りんくうプレミアム・アウトレット」の大規模拡張や、「イオンモールりんくう泉南」「ららぽーと和泉」といった広域集客型の巨大ショッピングセンターが相次いで進出。泉州エリアにおける物販・ファッションの商業地図は激変しました。
競合施設との過酷なパイの奪い合いのなかで、テナントの撤退が相次ぎ、一時期アパレル店舗の撤退区画が目立つ状態に陥ったのは事実です。この当時の印象が「相次ぐ閉店」「ゴーストタウン化」という記憶として固定化され、現在も「岸和田カンカンWEST 閉店理由」などの検索ワードとして残り続けています。
しかし、運営サイドは手をこまねいていたわけではありません。一般的なアパレルショップを誘致して消耗戦を続ける選択を捨て、2018年春の大規模リニューアルを契機に、他施設には真似のできない「スポーツ」「アウトドア」「アクティビティ」「シネマ」への特化を決断。旧来のテナントを一斉に整理したため、端から見れば「大量閉店」に映りましたが、実態は次代を見据えた大掛かりなスクラップ&ビルドだったのです。
平日に見られる「静けさ」についても、滞在型アクティビティ施設やシネマコンプレックスという業態の特性が関係しています。週末や夕方以降に利用者が集中する一方、平日の昼間は人通りが落ち着くため、一般的なスーパーマーケット主体のモールと比較して「ガラガラ」と錯覚されやすい構造があります。