寺に逃げ込んだ小僧を匿った和尚は、激昂して寺の戸を破ろうとする山姥を堂々と迎え撃ちます。ここで注目すべきは、和尚が決して武力や祈祷の爆発的パワーでねじ伏せたのではないという点です。
和尚は座敷で悠然と囲炉裏の火にあたりながら、山姥に向かってこう語りかけます。「お前さんは山を駆け、川を飲み干すほどの凄まじい神通力を持っているそうだな。どれ、その力で天まで届く大男に化けてみせてはくれまいか」。挑発された山姥は自尊心をくすぐられ、たちまち屋根を突き破るほどの巨大な怪物へと姿を変えました。
和尚は感嘆したふりをしながら、すかさず本命の罠を仕掛けます。「見事なものだ。だが、大きくなるのは簡単だが、豆粒のように小さくなることなど、さすがのお前さんにもできまい」。山姥は「そんなこと朝飯前だ」と嘲笑い、自らの姿を極小の豆粒(またはハエ)へと縮めました。
一瞬の隙を見逃さず、和尚は用意していた焼き餅に小さくなった山姥を包み込み、そのまま一口でゴクリと呑み込んでしまいます。人智を超えた猛獣のような化け物が、傲慢さと心理的トラップによって自滅する――これが語り継がれる結末の真相です。伝承によっては、和尚が便所へ駆け込んで排泄したものが小さな虫(ハエや蚊)になって飛び去ったという、ユーモラスかつ因果応報な後日談が語られる地域もあります。