幽遊白書・飛影の壮絶な過去と強さ|雪菜に兄と名乗らぬ理由と最終回

幽遊白書・飛影の壮絶な過去と強さ|雪菜に兄と名乗らぬ理由と最終回

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物語後半において、飛影の運命を決定づけた最重要人物が、魔界三大妖怪のひとりである軀(むくろ)です。ネット上では「二人は恋愛関係なのか?」「最終的に結ばれたのか?」といった憶測が長年飛び交っていますが、原作の緻密な描写と冨樫氏の作家性に基づけば、その真相は単なる「男女の恋愛」という陳腐な枠組みを遥かに超越した「魂の共鳴と相互救済」にあります。

軀は幼少期、痴皇という狂気の妖怪によって奴隷として肉体と尊厳を徹底的に破壊され、自らの身体を硫酸で焼いて逃亡した凄惨な過去を持ちます。半身を機械化し、絶望の中で魔界の頂点へと上り詰めた軀の闇の深さは、忌み子として棄てられた飛影の境遇と鏡のように一致していました。

飛影が軀に見せた最大の献身が、コミックス19巻で描かれた「軀の誕生日のエピソード」です。飛影は軀の過去の元凶である痴皇を捕獲し、自らの肉体に寄生させる「ヒトモドキ」を植え付けた上で軀の前に差し出しました。「ハッピーバースデー」という言葉とともに、軀が長年囚われ続けてきたトラウマの元凶を、永遠の植物人間状態にして復讐の機会を与えたのです。この行為によって軀の魂は長年の呪縛から解き放たれました。二人の関係は、恋愛という言葉では括りきれない、「地獄の底を知る者同士にしか成立しない絶対的な戦友関係」でした。

そして迎えた原作最終回における「その後」の足跡。飛影が選んだ道は、人間界に定住することでも、魔界の王座に就くことでもありませんでした。彼は魔界に残り、軀の直属の部下として「魔界に誤って迷い込んでしまった人間たちを保護し、記憶を消して無事に人間界へ送り返すパトロール」に従事しています。

かつて「人間などただのエサだ」と言い放ち、残虐を尽くしていた初期の飛影が、最終的には人間を守り生還させる役割を自らのライフワークに選んだという事実。そこには、幽助や桑原、蔵馬との触れ合い、そして愛する妹・雪菜が生きる「人間界」そのものを陰から護り続けるという、飛影なりの静かで気高い贖罪と決意が宿っています。

木村 陽翔
著者

木村 陽翔

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。