スマートフォンのカメラ選びにおいて、もっとも多くのユーザーが陥りがちな罠が「画素数=画質の良さ」という思い込みです。結論から言えば、画素数の多さは写真の解像度(細かさ)を示す指標であり、写真の美しさそのものを保証するものではありません。
カメラの画質を左右するもっとも基礎的な物理法則は、どれだけ多くの光を取り込めるかという「受光量」にあります。スマートフォンの限られた内部スペースに収まるイメージセンサーは、一眼カメラと比べて極めて小型です。この極小の受光面に膨大な数の受光素子(ピクセル)を敷き詰めると、1ピクセルあたりの面積である画素ピッチが極度に狭小化します。
画素ピッチが小さくなると、1つの画素が受け取れる光の量が激減します。その結果、夕暮れや室内、夜景といった光量の少ないシーンでノイズが大量に発生し、ざらついた不鮮明な写真になってしまいます。ネット上で「スマホの画素数は関係ない」と語られることがあるのは、まさにこの物理的限界を突いた意見です。面積を広げずに画素数だけを増やすことは、光を受け取るバケツを小さくして数を増やすようなものであり、光学的にはむしろ画質低下のリスクを孕んでいます。