長年にわたり暴力団問題を取材し続けてきた裏社会ジャーナリズムの第一人者・溝口敦氏は、著書や取材を通じて現代ヤクザの変容を克明に描き出してきた。溝口氏の分析によれば、現在のヤクザ社会は「組織の空洞化」と「個人事業主化」が加速しているという。
かつてのような「親分のために命を張る」という濃密な人間関係や任侠の美学は薄れ、経済的利害関係のみで結ばれる乾いた関係性が主流となった。シノギを作れない構成員は組織内で淘汰され、逆に資金獲得能力の高い者が若くして重用される実力主義が定着している。
溝口氏は、暴力団が単なる武力集団から「グレーゾーン経済の請負人」へと変質したことが、現代の生き残り戦略であると分析する。社会が複雑化すればするほど、法的グレーゾーンで動くビジネスの需要が生まれ、そこに彼らが付け入るスキが生じるのだ。