自前の学校プールを廃止した自治体が次善の策としてではなく、より高度な教育機会として積極的に導入しているのが民間スイミングスクールへの授業委託です。スポーツ庁が策定した『持続可能な水泳授業の実施に向けた参考資料(学校プールの管理・運用等の視点を含めた水泳授業に係るポイント)』でも、地域資源を活用した持続可能な水泳授業モデルとして民間活力の活用が明確に推奨されています。
委託先の多くは、地域で運営されている屋内温水スイミングスクールです。民間に委託することで得られるメリットは多岐にわたります。まず、空調と水温が徹底管理された屋内施設であるため、雨天や猛暑による中止が一切発生せず、年間の指導計画を100%消化できる点です。さらに、水泳指導のプロであるインストラクターが児童生徒の泳力別にきめ細かく指導を行うため、「学校プール時代よりもクロールや平泳ぎの上達が圧倒的に早い」という保護者からの高評価が相次いでいます。学校教員は監視業務の重圧から解放され、児童の体調見守りや安全引率に専念できるようになりました。
学校単独保有、民間委託、そして近隣校共同利用における各種条件の違いを比較整理したデータは以下の通りです。
一方で、民間委託には移動バスの手配コストや移動時間の確保という新たなハードルも存在します。1回2コマ連続の授業枠を確保する必要があり、近隣に受け入れ可能なスイミングスクールが存在しない過疎地域や中山間地域では、都市部と同様のスキームを導入しにくいという地域間格差も顕在化しています。