学校プール授業はなぜ激減?猛暑と老朽化、民間委託が進む現場の真相

学校プール授業はなぜ激減?猛暑と老朽化、民間委託が進む現場の真相

学校プール授業はなぜ激減?猛暑と老朽化、民間委託が進む現場の真相とはどんな影響があるのか? 背景や要点を整理してお届けします。

自前の学校プールを廃止した自治体が次善の策としてではなく、より高度な教育機会として積極的に導入しているのが民間スイミングスクールへの授業委託です。スポーツ庁が策定した『持続可能な水泳授業の実施に向けた参考資料(学校プールの管理・運用等の視点を含めた水泳授業に係るポイント)』でも、地域資源を活用した持続可能な水泳授業モデルとして民間活力の活用が明確に推奨されています。

委託先の多くは、地域で運営されている屋内温水スイミングスクールです。民間に委託することで得られるメリットは多岐にわたります。まず、空調と水温が徹底管理された屋内施設であるため、雨天や猛暑による中止が一切発生せず、年間の指導計画を100%消化できる点です。さらに、水泳指導のプロであるインストラクターが児童生徒の泳力別にきめ細かく指導を行うため、「学校プール時代よりもクロールや平泳ぎの上達が圧倒的に早い」という保護者からの高評価が相次いでいます。学校教員は監視業務の重圧から解放され、児童の体調見守りや安全引率に専念できるようになりました。

学校単独保有、民間委託、そして近隣校共同利用における各種条件の違いを比較整理したデータは以下の通りです。

項目自校プール保有(従来型)民間スクール全面委託自治体内での複数校共同利用施設改修・維持管理費改修に5,000万〜1億円、年間維持費100万〜300万円施設維持費0円(利用料・バス送迎代のみ計上)拠点校のみ改修費発生、他校は移動費のみ天候・猛暑による影響悪天候やWBGT31以上で中止頻発(実施率50〜70%)屋内温水プールの防空調により実施率100%屋外拠点の場合は自校型と同様に猛暑中止あり指導体制・泳力習得度学級担任が1〜2名で一斉指導、泳力差のケアが困難専門インストラクターが泳力別に少人数グループ指導教員による指導が基本、指導員の加配は一部のみ教員の安全管理負担水質検査・注水・溺水監視・清掃など極めて重い施設管理負担ゼロ、引率と同伴見守りのみに軽減移動の引率負担が発生、拠点校教員に管理集中

一方で、民間委託には移動バスの手配コストや移動時間の確保という新たなハードルも存在します。1回2コマ連続の授業枠を確保する必要があり、近隣に受け入れ可能なスイミングスクールが存在しない過疎地域や中山間地域では、都市部と同様のスキームを導入しにくいという地域間格差も顕在化しています。

松本 悠斗
著者

松本 悠斗

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。