ソルベの起源を遡ると、古代中東のアラビア世界で親しまれていた飲料「シャルバート(Sharbat)」に行き当たります。シャルバートとは、山から運ばれた天然の雪や氷に、果汁、バラ水、砂糖などを混ぜ合わせて飲用されていた冷涼なシロップ水のことです。
この飲料文化が中世の地中海貿易を通じてイタリアのシチリア島やヴェネツィアへと伝播し、イタリア語で「ソルベット(Sorbetto)」へと進化を遂げました。当時、氷を夏場まで貯蔵できる地下氷室(アイスハウス)を維持できたのは特権階級に限られており、ソルベットは王侯貴族の富と権力を象徴する最高級の嗜好品でした。
転換点となったのは1533年、フィレンツェの名門メディチ家のカトリーヌ・ド・メディシスが、後のフランス国王アンリ2世へ輿入れした歴史的出来事です。彼女がイタリアから帯同させた専属料理人や菓子職人たちによって、冷却技術や氷菓の製法がフランス宮廷へともたらされ、洗練されたフランス料理の体系の中で「ソルベ」として定着していきました。