1876年(明治9年)に竣工した旧開智学校校舎は、2019年(令和元年)9月に近代学校建築として日本初の国宝に指定されました。城郭や寺社仏閣が中心だった国宝建造物の中に、明治の学校校舎が加わったことは文化財保護の歴史において極めて画期的な出来事です。
国宝指定へと至った最大の理由は、日本の近代教育黎明期を伝える歴史的価値と、卓越した建築技術の双方が奇跡的なバランスで現存している点にあります。明治新政府が発布した「学制」に基づき、教育によって近代国家を目指した日本の情熱がこの校舎一つに凝縮されています。
さらに、外観の華やかさだけでなく、当時の木造建築技術の粋を集めた構造設計、地域住民が工事費用の大半を寄付で賄ったという記録の明瞭さも、文化財としての極めて高い価値を裏付ける決定打となりました。