大豆の質が湯葉の命運を分ける。東山ゆう豆の厨房では、一般的な白大豆だけでなく、最高級品種として名高い丹波黒大豆を用いた汲み上げゆばが仕込まれている。黒大豆特有の濃厚なコクと深い甘みは、口に入れた瞬間に広がる芳醇な風味となって鼻を抜ける。これを可能にしているのが、長年の勘と鋭い五感を研ぎ澄ませたゆば職人の存在だ。
豆乳の温度管理、表面に薄い膜が張る絶妙なタイミング、そして破れやすい繊細な湯葉を崩さずに引き上げる指先の力加減。どれかひとつでも狂えば、あの極上の舌触りは生まれない。大豆の絞り汁というシンプルな素材だからこそ、誤魔化しが一切利かない。職人が一枚一枚丁寧に掬い上げた汲み上げゆばは、まるで極上のプリンのようにとろけ、まろやかな余韻をいつまでも舌に残すのだ。