『みんながみんな英雄』を聴いた瞬間、「子どもの頃に学校で踊ったフォークダンスの曲だ」と直感した人は多いはずです。しかし、音楽史的な観点から正確に辿ると、そこには多くの人が混同しやすい楽曲名とダンス名の関係性が存在します。
この楽曲の元ネタとなっている原曲は、19世紀初頭のアメリカで誕生した伝統的なトラディショナル・フォークソング『藁の中の七面鳥(Turkey in the Straw)』です。軽快なフィドル(バイオリン)の旋律で親しまれ、アメリカ開拓時代からダンスパーティーやお祭りで演奏されてきた歴史的名曲です。日本には明治時代初期に伝わり、小学校の音楽教材や童謡として親しまれてきました。
一方、私たちがよく知る『オクラホマミキサー(Oklahoma Mixer)』は、実は楽曲の名前ではなく「パートナーを次々に交代しながら踊るフォークダンスのステップ名・様式」を指します。戦後の日本において、教育現場にフォークダンスが普及する過程で『藁の中の七面鳥』のメロディに合わせて踊るスタイルが定着したため、曲名自体が「オクラホマミキサー」として広く認知されるに至りました。
CM制作陣は、日本人のほぼ100%が潜在的に記憶しているこの旋律に着目。原曲の軽快なカントリー調のリズムを大胆に解体し、ドラマティックなゴスペル・バラードへとリアレンジすることで、聴く者のノスタルジーと新鮮な感動を同時に呼び起こす音楽的仕掛けを施したのです。