交通経済の世界には「4時間の壁」という有名なセオリーが存在します。新幹線の乗車時間が4時間を超えると航空機へシェアが傾き、4時間を切ると新幹線が優位に立つという分岐点です。東京〜広島間は、のぞみの所要時間が最速3時間44分、平均3時間50分〜4時間であり、まさにこの分水嶺の真上に位置しています。
航空機(ANA・JAL)を利用する場合、羽田空港から広島空港までのフライト時間は約1時間30分です。これだけを見れば飛行機が圧勝に見えますが、移動の実態は大きく異なります。東京都心部から羽田空港までの移動に約30分、保安検査場の通過期限(20分前厳守)と搭乗待機で約40分。さらに最大のボトルネックとなるのが、広島空港から広島市内(広島駅・八丁堀)へのアクセスです。
広島空港は山間部に位置しており、市内中心部まではリムジンバスで約50分(運賃1,450円)を要します。道路の渋滞リスクや飛行機の乗降時間を合算した「ドア・ツー・ドア」の実質移動時間は、およそ3時間30分〜3時間45分となります。新幹線と航空機で、実質的な所要時間差はわずか15分〜20分程度しかありません。
費用面での勝敗はどうでしょうか。航空会社の早期割引(スーパーバリューや先得)を搭乗数ヶ月前に押さえれば片道11,000円〜13,000円台という破格のチケットも存在します。しかし、前述のリムジンバス代(片道1,450円)や都内空港アクセス費(約500円〜700円)が必ず上乗せされるため、総支払額では「EX早特21ワイド」や「新幹線ホテルパック」の新幹線実質価格とほぼ同等になります。