2018年7月6日の放送で、小林由美子氏による「2代目しんのすけ」が初めて電波に乗った瞬間、SNSやネット掲示板上には凄まじい反響が巻き起こりました。当時のTwitter(現X)のトレンドランキングはしんちゃん関連のワードで埋め尽くされ、「声が少し若返った」「やっぱり初代の独特の間が恋しい」といったしんちゃんの声に対する違和感を指摘する声が数多く投稿されました。
しかし、当時のソーシャルリスニングデータや5ch(旧2ch)・知恵袋などの言説を深層分析すると、そこにあったのは拒絶ではなく、「26年間の喪失感」に対する戸惑いでした。むしろ、プレッシャーのかかる大役を引き受けた小林氏に対する激励や、予想以上に初代のエッセンスを忠実に再現した技術力への驚嘆が過半を占めていたのです。
小林氏は起用決定直後のインタビューで、「矢島さんの演じてこられたしんちゃんを傷つけたくない」「徹底して矢島さんの音源を聴き込み、呼吸や語尾の跳ね方を研究した」と語っています。完全な模倣を目指すのではなく、矢島氏が構築した「しんちゃんという概念」のスピリットを受け継ぎつつ、持ち前の元気で真っ直ぐな少年声を融合させていきました。
交代から8年が経過した2026年現在の評価はどうでしょうか。現在の幼稚園児や小学生にとって、リアルタイムで接しているのは紛れもなく小林由美子氏のしんのすけです。劇場版シリーズにおいても興行収入20億円超を安定して連発しており、ファミリー層のアンケート調査でも「違和感を抱いている」と答える現役視聴者はごく僅かとなっています。初代を知る親世代と2代目をリアルタイムで楽しむ子ども世代が違和感なく作品を共有できている現状は、キャスティングが歴史的大成功であったことを物語っています。