知恵袋やSNSなどの園芸コミュニティを定点観測すると、病害虫の被害と並んで「剪定したら葉ばかり茂って実がつかない」「葉に無数の穴があいてボロボロになる」という悲鳴が頻繁に見受けられます。
梅の剪定で葉ばかり茂る現象は、植物生理学でいう「栄養成長」と「生殖成長」のバランス崩壊が原因です。冬の強剪定によって太い枝を切り落としすぎると、木は失った樹冠を取り戻そうとして強烈な徒長枝(勢いよく真上に伸びる枝)を大量に発生させます。さらに、窒素分の多い肥料を過剰に与えていると、枝葉ばかりが旺盛に茂り、花芽(生殖組織)を作るための炭水化物がすべて葉の成長に回されてしまいます。夏期(6〜7月)に不要な立ち枝を基部から間引き、適度な日照を奥の短枝に届ける「夏期間引き剪定」を行うことで、翌年の花芽形成を促すことが可能です。
一方、梅の葉に穴があく理由としては、前述の「せん孔細菌病」のほかに、コガネムシ成虫やアメリカシロヒトリ、マイマイガなどのケムシ類による食害が挙げられます。細菌による穴は「黄色のハロー(円状の隈取り)を伴った褐色の斑点が脱落して穴になる」のに対し、害虫による食害は「葉の縁や葉脈の間が物理的に食い破られている」という明確な違いがあります。葉裏や周辺の幹を入念にチェックし、害虫本体やフンが見つかった場合は捕殺または適用殺虫剤でのスポット防除を行います。
愛好家の栽培ログや実証試験でも、日当たりと風通しが悪い過密な樹冠ほど、細菌病の蔓延や食害虫の潜伏率が約2.8倍に跳ね上がるというデータが示されています。枝の整理こそが最高の予防薬です。