閉園寸前まで追い込まれていた大内山動物園が、いかにして現在の輝きを取り戻したのか。その転換点には、一人の男の規格外とも言える決断がありました。現園長である山本清號(やまもと きよつぐ)氏の存在なくして、今日の姿を語ることはできません。
2008年、前園長の他界によって行き場を失いかけた約400頭羽もの命。殺処分の危機すら囁かれるなか、地元で林業や建設業を営んでいた山本氏は、動物たちの命を救うために経営継承を決断しました。行政からの大規模な公金援助を頼るのではなく、数億円に及ぶ私財を投入し、自社の重機を現場に持ち込んで自ら開墾・造成を指揮したというエピソードは、報道各社の特集やドキュメンタリー番組でも大きく取り上げられ、多くの人々に衝撃を与えました。
山本園長が掲げた方針は、単なる見世物小屋への回帰ではありませんでした。行き場をなくしたペット、サーカスや移動動物園から引き取られた個体、そして交通事故や罠で傷ついた野生生物を受け入れる「私設保護動物園」としての再出発です。「人間が勝手な理由で傷つけ、見捨てた命を、人間の手で最後まで全うさせる」という揺るぎない覚悟のもと、獣舎の全面新築、バリアフリー通路の整備、専任獣医師の常駐体制の構築など、アニマルウェルフェア(動物福祉)に根ざした環境改修が積み重ねられました。この血のにじむような再生の歩みこそが、熱狂的な支持を集める基盤となっています。