登山界のアカデミー賞と称される「ピオレドール賞」。世界中でその年に達成された最も傑出した登攀に贈られるこの誉れ高き賞を、彼は複数回獲得するという快挙を成し遂げている。過酷なシスパーレ南西壁の初登攀をはじめ、前人未到の壁を軽やかなステップで攻略していくスタイルは、世界的にも高く評価された。
重装備で力押しする従来型の登山ではなく、軽量かつスピーディーに山と対話するように登るアプローチ。そこには山に対する深い敬意と、己の身体能力・判断力への絶対的な自信が存在していた。ピオレドール賞受賞の功績は、日本の登山史における大きな金字塔として、今もなお眩しく輝いている。