本作の物語は、主人公・矢口八虎の経歴の変遷とともにその舞台を高校の美術部から予備校、そして藝大へと拡大させていきます。公式資料や原作描写に基づき、八虎を中心に交錯する相関図の詳細まとめを紐解きます。
高校時代、スクールカースト上位で要領よく生きながらも虚無感を抱えていた八虎は、部活の先輩である森まる(森先輩)の描いた巨大な天使の絵に魂を奪われ、美術の深淵へ導かれました。この森先輩の存在こそが、八虎にとって生涯褪せることのない「美の原体験」です。
多くのファンが気に留めている森まるのその後の経緯についても触れておかなければなりません。彼女は藝大ではなく私立の名随・武蔵野美術大学(ムサビ)の油絵学科へ進学。周囲の評価や市場の流行に媚びることなく、「自分の祈りを込めた絵」を愚直に描き続けています。「藝大に受かることだけが表現者のゴールではない」という事実を静かに体現する存在として、八虎が壁にぶつかるたびに立ち返る精神的支柱であり続けています。
高校の同級生であり八虎を美術部へ引きずり込んだ鮎川龍二(ユカちゃん)とは、親友でありながら互いの痛みを共有する戦友。そして予備校「つばめ美術予備校」(アニメ・原作では東京美術学院)で出会い、強烈な劣等感と羨望を植え付けたのが高橋世田介でした。
藝大進学後は、放浪癖があり圧倒的な熱量を持つ村井八雲や、作品コンセプトを明晰に構築する鉢呂など、規格外の同期生たちと切磋琢磨する過酷なフェーズへと突入しています。