第1053話が読者に与えた最大の衝撃は、カイドウとビッグ・マムのツートップ陥落に伴う「新四皇」の発表でした。ルフィが四皇入りを果たす展開は多くのファンが予想していたものの、その隣に並び立ったのは、トラファルガー・ローでもユースタス・キッドでもなく、まさかの「千両道化のバギー」でした。
なぜバギーが四皇に選ばれたのか。その背景には、世界政府と海軍が抱く情報管理の歪みと、現場の誤認が重なり合っています。王下七武海制度の撤廃後、バギーは海軍の包囲網を前に部下たちへハッタリを利かせつつ、裏社会のビジネスを拡大。さらに後述する「クロスギルド」の設立において、元七武海のジュラキュール・ミホークやサー・クロコダイルを従えているかのように世界へ誤認された事実が、世界政府に「極めて危険な黒幕」と判断させる決定打となりました。権力構造の表面だけをなぞる世界政府のプロパガンダが、稀代の道化師を海の覇者へと祭り上げた瞬間でした。
同時に明かされたのが、長年ベールに包まれていた古代兵器「プルトン」の隠し場所です。光月スキヤキの口から、プルトンがアラバスタではなく「ワノ国の地下深く」に封印されている事実が語られました。かつてアラバスタの歴史の本文(ポーネグリフ)に刻まれていたのはプルトンの本体ではなく「在処を示す情報」であり、ワノ国の「開国」とは文字通り外壁を破壊してプルトンを地上に解放することを意味していたのです。
さらに、花の都へ単独潜入した新海軍大将「緑牛」ことアラマキの動向も見逃せません。「モリモリの実」の森人間である彼は、植物を生やして養分を吸い尽くす凶悪な能力を披露し、百獣海賊団の残党であるキングやクイーンを容易く制圧。ルフィの首を取ってサカズキ元帥に認められるという独善的な動機で動いており、その狂信的な正義観が新時代の火種となることを強く印象づけました。