パートナーを困惑させる「別れ話を持ちかけて相手を引き留めさせる」「わざと連絡を絶って心配させる」といった過剰な試し行動の裏には、深層心理に刻まれた「どうせ裏切られる」という強烈な不信感があります。
精神分析医ジョン・ボウルビィが提唱した愛着理論(アタッチメント)では、乳幼児期に養育者との間で築かれる情緒的な絆が、成人後の対人関係のひな形(内的活動モデル)になるとされています。不安型愛着を形成する背景には、主に以下のような親の養育態度や幼少期の影響が関係しています。
- 愛情の気まぐれ・一貫性の欠如:親の機嫌によって褒められたり突然激怒されたりするため、子どもは常に親の顔色を伺い、「大人は予測不能で見捨てていく存在」と学習する。
- 条件付きの承認:「良い成績を取ったときだけ」「手がかからないときだけ」愛された経験から、「ありのままの自分には価値がない」という強固な信念が刷り込まれる。
- 過干渉または情緒的ネグレクト:親自身の不安を子どもに投影して自立を阻む、あるいは子どもの寂しさに寄り添わずに放置したことで、健全な心理的バウンダリー(自他の境界線)が育たなくなる。
幼少期に「泣き叫び、しがみつくことでしか親の関心を引けなかった」経験が、大人になっても「激しく感情をぶつけないと相手を繋ぎ止められない」という誤った生存戦略として再現されているのです。