テレビ画面越しに専門家を唸らせてきたのが、タモリの類稀なる観察眼だ。NHK総合の看板番組として長年愛された『ブラタモリ』において、彼は専門的な地質図や古地図を片手に、現代の路上に残されたわずかな勾配やカーブの理由を次々と解き明かしてきた。
この卓越した街歩きの視線は、今和次郎らが提唱した「都市考現学」の系譜を継ぐものと言える。高層ビルの狭間に残された歪んだ路地や、かつて川だった暗渠の上の遊歩道。タモリの眼差しは、見過ごされがちな日常の微小な違和感から、都市が辿ってきた歴史的変遷のドラマを一瞬にして引きずり出すのだ。