かつて高視聴率を誇った芸能人水泳大会が地上波から姿を消した背景には、日本のメディア倫理と社会規範のドラスティックな変化が存在します。主な要因は以下の3点に集約されます。
第1に、BPO(放送倫理・番組向上機構)の設置とコンプライアンスの厳格化です。1990年代後半から2000年代にかけて、女性タレントに対するセクシャルな視線誘導や過度な身体的露出を伴う企画に対して視聴者からの批判が高まり、ファミリー層が安心して視聴できる番組作りが求められるようになりました。
第2に、タレントマネジメントの高度化とアイドルのイメージ保護です。大手芸能事務所は所属タレントのブランディングを重視するようになり、水着姿での過激なバラエティ出演を避ける方針へとシフトしました。第3に、制作費の高騰と費用対効果の低下です。大磯ロングビーチを貸し切り、数百名のタレントとスタッフを動員する大規模特番の制作コストは莫大であり、テレビ局の広告収入モデルの変化に伴い、継続が困難となっていきました。