日本の2時間サスペンス史を語るうえで、片平なぎさが主演した2大金字塔『赤い霊柩車』と『小京都ミステリー』の存在は外せません。1992年にスタートした『山村美紗サスペンス 赤い霊柩車』(フジテレビ系)は、京都の葬儀社「石原葬儀社」の若き女社長・石原明子が、婚約者の医師・黒沢春彦とともに奇怪な殺人事件の謎を解き明かす物語です。
本作の最大の魅力は、本格的なトリック解明と、石原葬儀社専務の秋山(大村崑)や事務員の内田良恵(山村紅葉)が織りなすコミカルな掛け合いの絶妙なバランスにありました。共演の神田正輝との息の合ったコンビネーションは、30年以上にわたり視聴者を惹きつけ、「春彦さんと明子さんの結婚はいつなのか」というお約束の問いかけ自体が国民的な風物詩となったのです。
一方、1989年から日本テレビ系『火曜サスペンス劇場』で放送された『小京都ミステリー』シリーズでは、フリーライターの柏木尚子役を熱演。相棒のカメラマン・山本克也を演じた船越英一郎との名コンビは、後に船越が「2時間ドラマの帝王」と呼ばれる足がかりとなりました。全国の小京都を巡りながら事件に巻き込まれる旅情とスリリングな謎解きは、当時の旅行ブームとも連動し、平均視聴率20%超を連発する大ヒットを記録しました。